【土地活用の基礎知識】不動産の登記・謄本 – しげにゃんの土地活用

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2023/2/10
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土地活用に関する様々な知識をお伝えしている「土地活用の基礎知識」
今回のテーマは、登記・謄本 についてです。

不動産の売却時に必ずといっていいほど目にする「登記簿謄本」。
登記簿謄本について調べてみると
「登記簿謄本」「登記事項説明書」などの様々な種類の書類があり、
戸惑った経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか?
登記簿謄本とは登記事項証明書のことをいいます。
登記を行わないと、不動産を所有しているという主張ができません。
登記されていなかったために、トラブルに巻き込まれてしまうことも…。
そのため登記の種類やどのような場合に登記が必要かを覚えている必要があります。

今回は土地活用の基礎知識である登記・謄本についてお伝えしていきます。
是非このコラムを活用して、
不動産売却や相続の際の手続きをスムーズに行えるようにしましょう!

まず初めに、登記についてお伝えいたします。

登記

登記とは、重要な権利や義務などを社会に向けて公示するための制度 です。
登記所(法務局)という役所が事務を取り扱っています。
土地や建物に関する不動産登記や会社などに関する商業・法人登記のほか、
成年後見登記、債権譲渡登記、船舶登記、工場財団登記などさまざまな登記があります。

今回はその中でも、不動産に関する登記についてお伝えしていきます。

不動産登記

不動産登記とは、不動産情報が掲載されている登記 のことです。
入手した土地や建物の所有者をはっきりさせるために行われています。
登記を行う理由は、不動産等の物権譲渡の対抗要件が登記となるためです。
ここで、「対抗要件」についてご説明いたします。

対抗要件

対抗要件とは、民法で定められた主張するための条件 をいいます。
登記をしていなければ、権利を第三者に主張することができません。

例えば、AさんがB不動産から家を買った場合、所有権はAさんに移ります。
しかし、B不動産がAさんと同時にCさんにも同じ家を売っていたとします。
いわゆる「二重譲渡」の状態です。
このとき、AさんがCさんに「家は自分が買った」と主張するためには、
「登記」が必要なのです。
Aさんは登記を行っていなければ、自分の権利を主張することはできません。

不動産登記の種類

主な不動産登記は以下の通りです。

登記は法律上、義務ではないものがあります。
不動産を自由に使用できる権利である所有権や
所有する不動産に設定する担保権のことをいう抵当権の設定に関しては、
登記の義務はないのです。
なお、不動産の概要である位置や大きさに関しては、
登記が義務付けられています。
不動産の取得から一か月以内に登記をしなかった場合には、
10万円以下の過料まで設定されています。

法律上義務付けられていない登記はありますが、
先ほどご説明した対抗要件のために不動産登記を行う必要があります

次に、不動産登記が必要なケースをお伝えいたします。

不動産登記が必要なケース

不動産登記が必要となるのは、主に
・建物を新築・増築・取り壊し
・不動産の購入・売却・相続・贈与
・住宅ローンの利用・借換え・完済
となります。

ここからは、
・建物を新築
・不動産の売却・相続・贈与
・住宅ローンの利用
する場合にどのような登記を行う必要があるかについて解説していきます。

建物の新築

建物を新築した場合は、主に建物表題登記、所有者権保存登記を行います。

・表題登記
表題登記とは、建物の登記記録の物件概要を新しくつくる登記 です。
一般的には、新築の建物が完成したときに行います。
期限は、建物完成後の1か月以内です。
まだ登記されていない建物を購入された場合の期限も、
所有権を取得した日から1か月以内となります。

・所有権保存登記
所有権保存登記とは、甲区欄の最初に所有者として名前を入れる登記 です。
登記簿という証拠によって、所有者は自分の土地の所有権を主張できます。
これを法律上では対抗力(たいこうりょく)といいます。
所有権保存登記は、最初の所有者しか行わない登記です。
例えば、中古の建物を買って所有者が変わった場合は、
甲区欄を新しい名前に変更し、所有者が変わったことを登記します。
つまり、新築の建物に行う登記ということになります。

・区分建物表題登記
また、新築したのが集合住宅の場合は区分建物表記登記を行います。
区分建物表題登記が、集合住宅を新築して
それぞれを区分所有にするとき行う登記です。
区分所有とは、一棟の建物の独立した一部を所有するすることをいいます。
これは、分譲マンションを購入する際に行うことが多い登記です。
マンションの一室を購入した場合は、その一室に対して登記を行います。

不動産の売却・相続・贈与

所有権移転登記とは、所有者が変わった場合に行う登記 です。
不動産を売買・相続・贈与したときは、持ち主から新所有者へと所有権が移転します。
このときに行われる登記を所有権移転登記といいます。
所有権移転登記をすることで、
新所有者は第三者に対して所有権を主張することができる対抗力を持つのです。
相続登記は所有権移転登記の一つで、
正確には相続を原因とする所有権移転登記のことをいいます。

住宅ローンの利用

住宅ローンなどで借入をする際に、
建物と土地の担保権を設定することを抵当権設定といいます。
抵当権設定登記とは、抵当権の設定をすることです。
住宅ローンのように借金の金額が大きい場合、借金の担保として不動産を担保にします。
抵当権を明らかにするために行うのが抵当権設定登記で、
金融機関を抵当権者、住宅ローンの借入者を抵当権設定者といいます。
つまり、住宅ローンを借りるときに行う登記ということになります。

なお融資を完成した場合は、抵当権の抹消登記となります。

ここまで入手した土地や建物の所有者をはっきりさせるために
行われている不動産登記についてお伝えいたしました。
次に、土地や建物ごとの所在地や所有者などの情報が記載されている
登記事項証明書についてお伝えいたします。

登記事項証明書

ここからは、謄本と登記事項証明書についてお伝えいたします。

登記簿謄本

まず初めに、謄本についてです。

謄本の概要

謄本とは、法務局で備える登記簿を謄写した証明書 のことです。
登記内容が記載されたものを登記簿謄本といいます。

登記簿謄本

登記簿謄本とは、登記記録の内容を記載されたもの です。
登記記録が記載された登記用紙を複写したものを指します。
登記証明書を取得する際に原本の写しを交付していたため、
謄本(原本を転写した文書)と呼ばれていました。

「登記簿謄本」ではなく、
「登記事項証明書」という言葉を見聞きしたことがある方がいらっしゃると思います。
では、「登記簿謄本」と「登記事項証明書」に違いはあるのでしょうか?
実は、この二つの内容は同じです。
以前、登記情報は紙の書類に記載されており、
この紙をまとめたものが「登記簿」といいます。
現在は記録が電子化されたことにより、登記情報は紙の登記簿と併せて、
登記記録というデータとして保管されています。
データから登記情報の証明書を発行するため、
名称が「登記事項証明書」に変更されたのです。

謄本、登記簿謄本と登記事項証明書の違いについて理解できたでしょうか?
ここからは、登記事項証明書について詳しく説明していきます。

登記事項証明書

登記事項証明書とは、登記簿謄本と内容は同じである
登記記録の内容を記載されたもの です。
種類は5種類あります。
これから詳しく解説していきます。

種類

登記事項証明書には、
・全部事項証明書
・現在事項証明書
・一部事項証明書
・閉鎖事項証明書
・登記事項要約書
の5種類があります。

全部事項証明書

その不動産の登記から現在までの所有権や抵当権などの記録が
すべて記載された証明書です。
閉鎖事項証明書以外の3種の証明書の内容も含んでいます。

通常「登記事項証明書」といえば、全部事項証明書を選ぶことが多いです。

現在事項証明書

不動産登記記録のうち、現状の登記事項のみが記載された証明書です
すでに抹消された抵当権や以前の所有者が誰かなどについては記載がありません。

例えば過去に差し押さえを受けたが、その後完済したので
抹消されている経緯を知られたくない場合には現在事項証明書が適しています。

一部事項証明書

登記記録の一部のみが記載された証明書です。
マンションのような区分所有者が多い場合は、
必要な部分だけを記載している一部事項証明書が適しています。

複数の権利者が存在する場合、その土地に関する全部事項証明書を取得すると、
権利者全てについての証明書が発行されるため書面にして膨大な枚数になります。
しかし、マンションの売買で必要な証明書は売主の名義部分だけです。
ですから、区分所有者が多い場合には一部事項証明書が適しています。

閉鎖事項証明書

登記記録がデータ化される以前の、手書き・縦書きで記録されていた登記簿謄本です。
データ化される前に合筆された土地や
滅失された建物などの記録が記載された内容になっています。
その不動産を管轄する法務局でのみ取得が可能です。

かつては存在していた土地や建物の証明のために、
閉鎖事項証明書が用いられることが多いです。
また、不動産の所有権を示す証拠として利用する場合もあります。

登記事項要約書

現在効力のある事項のみが記載されている書類ですが、
「証明書」として使うことはできません。
現在の不動産の登記記録の内容を見たい場合などは、
証明書と比べて安い登記事項要約書が適しています。

次に、登記事項証明書の取得方法についてお伝えいたします。

取得方法

登記事項証明書の取得は、
どなたでも手数料を納付すれば交付を請求することができます。
取得をされる方の資格を証する書面等も必要なく、印鑑の押印も不要です。

取得方法には、
・登記所の窓口で取得する
・登記所へ郵送請求して取得する
・オンラインで取得する
といった3つの方法があります。

詳しく解説していきます。

登記所の窓口で取得する

登記所(法務局のほか、地方法務局、出張所、支局)の窓口へ直接行き、
交付申請を行い、受け取る方法です。
不動産が遠隔地にある場合でも最寄りの登記所で受け取りができます。

郵送で交付を請求する

窓口へは行けない事情や、インターネット環境が整っていない場合には、
郵送で交付請求することができます。

オンラインで交付請求し窓口か郵送で受け取る

インターネットを利用して交付請求をする方法です。
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」内に
「かんたん証明書請求」という機能があります。
これを利用して交付請求をすると、登記所の窓口で受け取ったり、
郵送してもらったりができます。次に、登記事項証明書の見方についてお伝えいたします。

見方

登記事項証明書は以下の3つのブロックに分かれています。

・表題部
・権利部(甲区)
・権利部(乙区)

表題部

物件の概要が記載されています。
土地の場合は所在地や地番・地積(面積)など、
建物の場合は所在地、地番、家屋番号、床面積などを把握することができます。

権利部(甲区)

所有者の情報が記載されています。
物件取得の日付や権利者について把握が可能です。

権利部(乙区)

所有権以外の権利(抵当権、担保権、賃借権など)が記載されています。
抵当権であれば、債権額や利息・債権者などを把握することができます。

ここまで登記事項証明書について詳しくお伝えいたしました。
最後に、登記におけるトラブル防止についてお伝えいたします。

登記におけるトラブル防止

先にも触れましたが、
登記事項証明書の権利部(甲区・乙区)には、登記の義務はありません。
登記申請を行わなくても罰則はないのです。
しかし、登記をしなくてもいい、というわけではありません。
様々なトラブルを防止するためには、必ず登記を行いましょう。
ここからは具体例を挙げて、登記におけるトラブルについてお伝えいたします。

二重売買

所有者が二重売買していて、不動産を手に入れることができない場合があります。
これは、「所有者移転登記」を行っていなかったため生じてしまいます。

例えば、AさんからBさんに所有者が変わったことを申請する
「所有者移転登記」を行わなければ、
登記上はAさんの土地・建物のままということになります。
登記上の記載がなければ、第三者に対抗することができません。
Aさんに悪意があって、Cさんに土地・建物を二重譲渡して
所有者移転登記を行ってしまった場合、所有者はCさんとなってしまうのです。

相続

相続登記をせずに放置し、後の代の人たちが苦労する場合があります。
相続が発生した場合に遺産分割協議書を作成せず、
相続登記を行わないで放置してしまうためです。
相続時に所有者を決めなければ、その不動産は相続人全員が共有している状態になります。
例えば相続人として長男Aと長女Bがいたとしたら、
不動産は長男Aと長女Bの共有になるのです。
遺産分割協議による相続登記をするためには、
所有者である相続人全員の印鑑証明書や戸籍謄本などの書類も必要になります。
相続人に音信不通の人がいた場合は
遺産分割による相続登記は大変困難になってしまうのです。

こういったトラブルを防止するためにも、登記は必ず行うようにしましょう

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、「登記事項証明書」についてお伝えいたしました。
登記は義務付けられていませんが、
権利を主張し、トラブルを防止するために必ず行いましょう!

次回以降もこういった基礎知識をお届けしてまいりますので、
是非チェックしてみてください!

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